至学館の豆知識
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2022年3月
生活の中のミス防止
わたしたちは事故やケガ、またはミスの防止を考える場合、ともすると本人の責任を追及しがちになります。これは古典的な対策で本人の注意を高めて防ごうとするものであります。もちろん一定の効果はありますが、あまり科学的対策とはいえず再発防止に弱さがあります。むしろ本人の責任と切り離した対策を講じるべきであり、システム(仕組み)を見直して事故やミスの起きにくい状況にすることが大切となります。
例を挙げて考えてみましょう。
アクセルとブレーキの踏み間違いで車が店舗に突っ込んでしまう事故がたまに起きます。しばらくすると店舗の原状復帰とともに安全柵のような防護フェンスが設置されています。
しかしながら、事故原因を分析しアクティブセーフティ対策、つまり事故の起きづらい状況へのシステム変更で、安全柵に頼らない防止策が可能になると思われます。
下図のように、駐車する位置を90°変えてみるとどうでしょう。店舗に突っ込む矢印はなくなりますよね。
短期大学部 体育学科
2022年2月
怪しい常識
「高校生がそんな恰好をするんじゃない!」、「母親なのに仕事を優先するなんてひどい!」、「先生なのにこんなこともできないの!?」こんな言葉を聞いたことがないでしょうか。どの言葉も、聞いていてあまり心地のいいものではありません。
私たちが生活する社会には、怪しい“あたりまえ”がたくさんあります。子どもは、若者は、大人は、男性は、女性は、高校生は、大学生は、親は、先生は、さらには血液型がA型の人は…こうであるはずだ!といった思い込みです。こうした固定観念や思い込みのことを“ステレオタイプ”といいます。ステレオタイプは相手がどんな人かわからないとき、その人の属性からコミュニケーションの取り方を予測するうえで役立ちますが、一方で偏見や差別につながることもあります。そして、この偏見となってしまったステレオタイプは、相手を傷つけるだけでなく、私たち自身の可能性を制限してしまうこともあるのです。
ステレオタイプの負の側面として知られているのが、“ステレオタイプ脅威”に関する研究です。この研究では、「女性は数学が苦手」というステレオタイプに対して、あるテストの前に「このテストでは性別による得点差がみられてきた」と伝えたAグループと、「このテストでは性別による得点差がみられない」と伝えたBグループを比較しました。その結果、Aグループには男女の得点に差が生じましたが、Bグループには男女の得点に差がなかったのです。つまり、数学の得点差は、本当に女性が苦手なのではなく、女性は苦手だと言われていることによって生じることが明らかにされたのです。
さて、私たちはこのような“怪しい常識”にとらわれて諦めていることがないでしょうか。常識を疑ってみることで、あなたの新しい可能性が見えてくるかもしれません。
健康科学部 こども健康・教育学科
2022年1月
黄粉や枝豆は何からできている?
今年の鏡開きは1月11日でした。皆さんはどのようにお餅を食べますか?お正月ならお雑煮にすることが多いと思いますが、鏡開きを終えたころだと少し飽きてくるかもしれません。そんなときは黄粉(きなこ)をつけて食べるのはいかがでしょうか。黄粉にお好みの量の砂糖(グラニュー糖がおススメ)と少量の塩を加えるのがポイントです。
黄粉は大豆を炒って粉にしたものです。大豆にはトリプシンインヒビターとよばれる消化酵素を阻害する物質が入っているため、生食できません。そのため必ず加熱してから食べます。今年は2月3日の節分の際によく使われる豆も大豆です。また、おつまみでよく食べられる枝豆は、大豆の未熟種子です。大豆(黄粉)も枝豆も植物学的にはマメ科植物ですが、食品としての扱いは少し異なります。
管理栄養士が食事管理などに使用する日本食品成分表では、大豆(黄粉も含む)は「豆類」として掲載されていますが、枝豆は「野菜類」になっています。これは豆類の未熟種子(枝豆など)や発芽したもの(モヤシなど)には野菜類と同じようにビタミン等が多く含まれることによります。授業でこの話をすると、そもそも黄粉や枝豆が大豆だということを知らないことが多いため、リアクションがおもしろいです。最近では、大豆ミートのように肉の代替品としても使用されていることもあります。皆さんも黄粉に限らず、その食品が何でできているかを調べてみると新しい発見があると思います。
健康科学部 栄養科学科
2021年12月
恋愛のストレス
愛し合った者同士が交際を始めることは、とても幸せなことである。心の底から喜びが湧き上がり、ワクワクして身体が震える感じがする。この至福の体験は、恋する者の特権である。だから、恋に落ちて交際を始めた二人には、ストレスなんてないと思いがちである。だがここに落とし穴がある。
恋する者は、激しい恋愛感情があるからこそ、愛が永遠に続いて欲しいと願う。それは自然な人間の感情である。ただこの感情をエスカレートさせた場合が問題である。愛が永遠に続くために、交際相手を誰かに奪われないようにしようとするのである。たとえば交際相手に自分以外の異性とは話をさせないようにしようとか、交際相手が他の異性と交友していないか、交際相手のスマホの送受信の内容をチェックしようなどと考えるのである。このようにして束縛行為が始まる。束縛行為とは、交際相手が自分から離れていくことを阻止するために、交際相手の行動を監視し、管理することである。
束縛行為が発展すると、身体的あるいは性的デートDVに至る危険性がある。つまり束縛行為は、デートDVの入り口であり、決して軽視はできないのである。
交際相手から束縛行為に従うことをどのくらい求められているかの実態調査は、いくつか実施されている。実態調査によって異なるが、たとえば「他の異性と話をしないと約束させる」は、交際経験者の中で約10%~30%の者が経験をしている。
束縛行為は日常生活の行動の自由を制限するものであるから、束縛行為に応じれば日常生活に大きな支障が生じる。多くの者にとっては苦痛である。苦痛ではあるが、愛情を感じる交際相手に対して「嫌だ」とも言いにくいことも事実である。拒否すれば交際相手から嫌われてしまわないかと不安になるからである。つまり拒否をしたいが、拒否もできないという状況に陥る。身動きが取れない状況になってしまうのである。これが恋愛のストレスである。
恋愛は幸せをもたらすが、時としてストレスももたらすのである。
健康科学部 健康スポーツ科学科
2021年11月
アスレティックトレーナーの役割って何?
みなさん、“トレーナー”ってどんな役割があると思いますか?世の中には“トレーナー”と名のつく職業がたくさんありますよね、例えば、アスレティックトレーナー、ストレングストレーナー、メンタルトレーナー、パーソナルトレーナー、ドッグトレーナー、ボイストレーナーなどなど、それぞれに決められた役割があります。今回はアスレティックトレーナーについて簡単にお話ししたいと思います。アスレティックトレーナーの役割は大きく分けて7項目あります。
- スポーツ外傷・障害の予防
- スポーツ現場における救急処置
- アスレティックリハビリテーション
- コンディショニング
- 測定と評価
- 健康管理と組織運営
- 教育的指導
短期大学部 体育学科
2021年10月
忍者ごっこはお勉強?
みなさんは、幼稚園や保育園の時に忍者ごっこをして遊んだことはありますか?遊んだことはなくても、どのような遊びかはイメージできるのではないかと思います。いまでも、幼稚園や保育園の子どもたちに、人気がある遊びの一つといえるでしょう。
子どもたちに人気の忍者ごっこですが、幼稚園や保育園の先生たちは、忍者ごっこを通して様々なことが学べるように工夫しています。たとえば、折り紙で手裏剣を折ることにより、手指の動きの発達を促したり、忍者をイメージして自分なりに表現することで、自分の考えていることを表現し伝える力を養ったり、また遊びのルールを自分たちで決めることによって人間関係を深めたり、巻物を使いお手紙を書くことで文字への興味関心を引き出したりしています。ほかにも、跳び箱や鉄棒、マット運動などの器械体操すべてを忍者ごっこの中に取り入れて、遊びながら挑戦することもあります。このように、幼稚園や保育園では、小学校以降の学びの基礎を、遊びを通して学んでいます。
「では、今日はひらがなを勉強します。先生が黒板に書いた文字を、一緒に書いて覚えましょう。」というより、先生が「皆の者!!だれかから巻物が届いたでござる!なんて書いてあるか一緒に読むでござる?」といって巻物を広げる方が、幼稚園や保育園の子どもたちは、文字への興味関心がわくと思いませんか?
健康科学部 こども健康・教育学科
2021年9月
学校給食の思い出は?
皆さんには学校給食というと、どんな思い出がありますか?カレーが好きだった、ランチルームで食べていた、バイキング給食が楽しかった等々、それぞれに思い出があることでしょう。今、活躍しているスポーツ選手も、子どもの頃に学校給食を食べていたことでしょう。
成長期にある子どもの体づくりには、運動と休養そして栄養が欠かせません。その栄養を考えて提供されているのが学校給食です。給食の栄養量は学校給食実施基準として示されていて、基本的に1日の3分の1が摂取できるようになっています。ところが、不足しがちなカルシウムは1日推奨量の50%、マグネシウムや鉄、ビタミンA、B1、B2、食物繊維は40%が基準値となっており、どの子も適切な栄養量が摂れるように考えられています。
また、学校給食には目標があり、学校給食法に示されています。健康の保持増進、望ましい食習慣や社交性を養う、自然や環境等への理解、食文化や生産流通への理解に導くことを目標としています。栄養を摂取するだけでなく、食育を含めた学校給食が実施されているのです。
そして、給食を形にするための給食管理は栄養教諭が行っています。衛生的で安全でおいしい給食を子どもたちに食べてもらえるように、さらには食について学んでもらえるように、調理員や教職員の皆さんと協力して給食を運営しています。
学校給食の背景を知ると、皆さんの学校給食の思い出も一味違ったものに感じるかもしれませんね。
健康科学部 栄養科学科
2021年8月
近代オリンピックに至学館の選手は何回出場しているか?
いまから120年ほど前、ピエール・ド・クーベルタンは、「身体と心を鍛える」ことと「平和な世界」を築きたいと近代オリンピックを開催しました。4年毎のこの大きなスポーツ祭典は、前回のリオデジャネイロ大会で31回でした。しかし、そのうち、3回は戦争によって大会そのものが中止、更に日本は「敗戦国」という理由から出場できなかったり、東西冷戦の最中にあって政治的な理由から不出馬であったりということがありました。つまり、近代オリンピックが開催されたのは28回、そのうち日本が出場したのは22回(日本は第5回ストックホルム大会から参加)ということになります。
そして、この22回のうち、至学館大学の在学生や卒業生が選手として出場している大会は、計8回です。いちばん最初に関わった大会は、在校生の児島文(円盤投)と卒業生の山本定子(槍投)が出場した1936年のベルリンオリンピックでした。この大会は、「ヒトラーのオリンピック」といわれるようなものであったり、芸術的に高評価を得ながらもナチ賛美のプロパガンダ映画とも捉えられた『オリンピア』(レニ・リーフェンシュタール監督)も残されていたり注目されるものです。『オリンピア』は『民族の祭典』と『美の祭典』の二部作ですが、『民族の祭典』では児島文が円盤を投げる映像が記録されています。
健康科学部 健康スポーツ科学科
2021年7月
スポーツ運動を「見る」ことはできますか?
スポーツ運動を見ることができるかという問いがあったときに、多くの方は「はい」と答えると思います。運動中の動きを見るという営みは、一般に「運動観察(Obsavation of human movement)」と呼ばれます。スポーツ運動学において「運動観察」は、単に「見る」ということの範囲を超えて「見抜く」というレベルまで含むことになります。つまり、何をやったのかを把握するだけでなく、どのようにやったのかを把握するということです。
例えば、バレーボールのスパイクの動きを行った選手がいるとします。その時のコーチはスパイクの動作のどの部分を見ているのでしょうか。仮に、ボールが相手コートに落ちて得点が決まったという結果のみを見ていたとしたら、そのコーチは失格かもしれません。選手がどの位置から助走をしてどの脚で踏み込み、跳び上がる方向や空中姿勢、肘の使い方、目線の位置まで<見抜けて>いるでしょうか。この選手が、例えば“肘の使い方を修正しよう”と意識してスパイクして、改善が見られた場合、コーチはその肘の使い方を厳密に観察して「今のは良かった!」というフィードバックをしなくてはいけないのです。
U.NEISER(1976)は、視覚にとって最も重要な認知構造は〈予期図式〉(anticipatory schema)と呼ばれるものであると述べています。それは、他の情報と比べて、ある特定の情報を選択的に受入れ、それによって見る活動をコントロールということです。つまり、今からスパイクをする選手がいたら、コーチは動作が開始する前に“肘の動かし方に注目して見ておこう”と予め見方を規定しておくのです。もちろん肘だけを見ているわけではありませんね。その他の関係する身体部位も見ているわけです。逆にこのような予期図式の形成が未熟で観察の内容をコントロールできない人は、運動を見ることができないのです。
スポーツの指導現場では、運動を詳細に見抜いて細かい部分まで指導されている指導者を目にすることがあります。このような運動観察の能力は、実技経験を含めた運動指導経験が大きなカギを握ることになります。皆さんも一緒に指導者の運動観察能力について考えてみましょう。
短期大学部 体育学科
2021年6月
親バカのススメ!? ~赤ちゃんの言葉を育てるために~
赤ちゃんは、生後2~3ヶ月頃から「アーアー」「ウークン」などと声を発するようになります。この「アーアー」や「ウークン」は、「喃語(なんご)」と呼ばれ、言葉としての意味を持ちません。赤ちゃんは、意味のないおしゃべりを楽しみながら、舌や唇などの調音器官を発達させ、いろいろな声を出せるようになります。赤ちゃんが1歳前後で意味のある言葉を発するようになるのは、喃語によって調音器官が鍛えられたおかげでもあります。
さて、赤ちゃんが意味のない喃語から意味のある言葉を話し出す過程で、親バカが役に立っているのをご存知でしょうか?
例えば、赤ちゃんが「ウークンンマンマンバババー」と喃語を発したとします。すると、その時、近くにいたお母さんには、「ウークン『ンマンマ』ンバババー」と聞こえます。そして、お母さんは、「『ンマンマ』って言った? きっと『ママ』って呼んだのね!」と大喜びして、「は~い。ママですよ~」と答えるわけです。
赤ちゃんが「ママ」に近い声を出すたびに、親バカ全開のお母さんは、嬉しそうに反応するということを繰り返します。「ンマンマ」「は~い」「ンマンマ」「は~い」という具合に。やがて、赤ちゃんのほうも、「ンマンマ」と言えば反応してくれる人がいることを理解するようになります。お母さんの返事は、赤ちゃんの意味のない音声(喃語)の連続に語としてのまとまりを作り、そのまとまりに「ママ」という意味を持たせてしまったのです。
周りの大人は、かわいい赤ちゃんが何か話していると思い、勝手に意味ある言葉を聞き出そうとします。そのような極めて主観的で願望的な思考と態度が、赤ちゃんの言葉を育てるうえで、とても重要な役割を担っているというわけです。赤ちゃんの周りの大人たちには、ぜひ、親バカぶりを競い合ってほしいと思います。
健康科学部 こども健康・教育学科
2021年5月
うどん作りにチャレンジしてみよう!
コロナ禍において、自宅で食事を摂る機会も多いと思います。手軽なラーメン、パンなどを食べる機会もあると思いますが、これらは、小麦粉を調理加工したものになります。ここにあげたもの以外にも、小麦を使ったものはたくさんあり、日常的に食べられています。
小麦粉は、でんぷんが多く含まれており、主食の食材としても用いられています。小麦は、外皮がたいため、粉にして主に用います。小麦粉に含まれるタンパク質の量により、強力粉、中力粉、薄力粉に分類することができます。
そこで、少しいつもより家に居る時間も多い今日この頃、乾麺を茹でて麺を食べるのではなく、粉から麺作りにチャレンジし、生活を楽しんでみませんか?
うどんは、中力粉を用いて作りますが、比較的簡単に作ることができます。作り方は簡単です。ボールに中力粉400gを入れ、食塩水(食塩20g、水300mL~)を入れ よくこねます。生地が耳たぶぐらいの柔らかさになるように水を加減します。30分程寝かしたのち、生地を四角形に伸ばし、折り曲げ、うち粉をして端から包丁で切ってうどんを作ります。
うどんを茹でたら、好みのつゆや具材で楽しんでみてはいかがでしょうか。
※打ち粉:生地どうしが付着するのを防ぐために用いる粉
※中力粉:強力粉と薄力粉1:1でも可能
健康科学部 栄養科学科
2021年4月
トレーニングと勉強の共通点
スポーツ選手の中には、「トレーニングをコツコツ積み重ねるのは好きだけど、勉強はちょっと…」という人が少なくないのではないでしょうか?実は、トレーニングも勉強も成功する秘訣は同じだという事が理解できれば、効果的な勉強法が身につくかもしれません。
すべてのトレーニングが、最初は「出来ない」から始まっているはずです。そこで、フィジカルトレーニングであれば「短時間なら同じ強度が出来る」とか、スキルトレーニングだったら「腕の動作だけなら出来る」というように部分的に習得していくことから始め、それを繰り返しているうちに持続できる時間や強度、技術の難易度を上げることが出来るようになるのです。
勉強も同様で、覚えやすいこと、興味を持てることから少しずつ初めて、その量や難易度を上げて行くと楽しく学習することが出来るでしょう。
このコツコツやることで楽しく上達できる秘訣は「脳」の働きが大きく関係してきます。脳は少し難しいハードルを越えた時に、「もっと高いハードルを越えたい」と思う習性があります。この修正を生かして、勉強とスポーツの両方で沢山のハードルを越え続けて下さい。
健康科学部 健康スポーツ科学科